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「会えない」から生まれた新たな「出会い」〜小学生×大学生オンライン交流会

経営学部 山岡義卓ゼミナール

外出自粛と臨時休校により、自宅で過ごしている子供たちに楽しい時間をー。

「持続可能な社会の構築」をテーマにさまざまな地域連携活動を行っている神奈川大学経営学部山岡ゼミナールの学生有志は、4月下旬から週2回のペースで、ビデオ会議アプリ「Zoom」を使った子供たちとの「オンライン交流会」を続けてきました。

これは、若者の地域活動支援等を行うNPO法人「アクションポート横浜」と、横浜市港北区で子育て支援を行う認定NPO法人「びーのびーの」との連携の動きに大学生たちが参加したもの。学生たちが自発的に企画を考え、行動を起こしたボランティア活動です。オンライン交流会を始めた経緯や、どのような思いで活動しているのかを、中心メンバーの学生たちにインタビューしました。

「次はいつ?」がモチベーションとなって

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 パソコンやスマホの画面上で○×ゲームをしたり、自分の好きなことを紹介し合ったりして交流を深める子供たちと大学生。普段なら出会うことのなかった、横浜市港北区の小学生親子が、神奈川大学の湘南ひらつかキャンパスに通う経営学部の学生たちと一緒に笑顔で遊んでいます。

 「楽しかった!」「次はいつ?」「もっと遊びたい」といった声が子供たちから上がるほど楽しみにされている「小学生×大学生オンライン交流会」。これは、新型コロナウイルス感染拡大によって外出自粛や臨時休校となり、自宅で過ごす時間が長くなった子供たちが楽しめる時間を作ろうと、神奈川大学経営学部の山岡ゼミの学生有志が始めたボランティア活動です。

 4月27日に第1回が開催されてから、毎週火曜と木曜の週2回開催され、Zoomを使って、10回以上活動を続けてきました。学校の先生や学童クラブのスタッフ、保護者のような大人とは違って、少し年齢の離れたお兄さん、お姉さんと遊ぶことができて、子供たちは大喜び。そして、活動に参加している学生たちは、そんな子供たちの笑顔に出会えることがうれしく、次へのモチベーションにつながっていきました。

準備期間はわずか3日。 「とりあえず、やってみよう」からのスタート

 このオンライン交流会を実行に移すにあたって、どれだけの準備をしたのかと思いきや、学生たちはゼミの指導教員である山岡義卓先生の呼びかけから、わずか3日で企画を練り、当日を迎えたのでした。中心メンバーとして活動する3人は当時を次のように振り返ります。

 加藤美紀さんは「とりあえず、やってみよう!という気持ちで始めました。今、必要とされているなら、議論に時間をかけているよりも、動きながら考えればいい。そう思いました」とのこと。

 袴田咲織さんは当日までに3日しかないことに驚きながらも、「とりあえずは活動して様子を見て、あとから企画を詰めよう」と動きました。

 「子供と遊んだことがあまりないので、足を引っ張らないか不安でした」と話す中島百菜さんは「何をするかを3人で話し合って当日を迎え、子供たちにも喜んでもらえたので、今後の活動への期待が持てました」と、気持ちに変化が現れました。

ゼミで培われた企画力やコミュニケーション能力がベースに

 山岡ゼミは「持続可能な社会の構築」をテーマに地域での実践活動に取り組むゼミナールです。普段は、キャンパスのある平塚周辺の農家や生協などと連携し、農作業やイベントに参加するなどして、学びを深めています。そうした活動のなかで、地域の親子と触れ合う機会はあったものの、子供をメインとした活動をすることはこれまでにはありませんでした。

 それでも、山岡先生からの呼びかけに即座に応じて、行動を起こすことができたのは、日頃からの連携活動によって、企画力やコミュニケーション能力が培われていたベースがあったからです。

 Zoomやグループ通話などで話し合い、準備を進めて迎えた当日。「初めまして」と画面越しに出会った親子と学生たちは、お互いに緊張しながらも画面上で交流を深めます。そして、子供たちは、この日が初対面にもかかわらず、「自分のことをもっと知って!」という意欲にあふれ、積極的に活動に参加していました。

「件名:暇です。暇すぎます」という1通のメール

 オンライン交流会の発端となったのは、4月中旬に山岡先生のもとに、学生から届いた「件名:暇です。暇すぎます」という1通のメールでした。

 メールには、外出もできないため、大学へもアルバイトへも行くことができず、「暇」であることが書き綴られていました。

 「暇とは『時間的な暇』だけを意味するのではなく、『心の暇』、つまり『精神的な空白』があるということ。私にわざわざメールで送ってくるのだから、これは切実なことではないか」と、山岡先生は感じたそうです。

 「例年であれば、授業やゼミ、アルバイト、サークルなど、さまざまな社会とのつながりの中で、自分の存在を確かめられるはずが、今、学生たちにはそれらがすべて断たれてしまっている。これはメールを送ってきた学生だけではなく、日本中の若者が同じような状況にあるにちがいない。10代から20代の多感な時期に、学生たちは多様な他者と関わるなかで、自己を確立し社会観を形成していきます。数カ月にわたり、それらが全て断ち切られるということは、長期的にみて社会全体に大きな損失をもたらすことになる、社会的な課題であると感じたのです」

危機の時にすぐに動けるために、日頃からすべきことがある

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 ちょうどその頃、山岡先生はNPO法人「アクションポート横浜」の理事会に参加し、予定していた事業が実施できない状況において、今すべきことは何かを、同法人の代表や同じく理事を務める認定NPO法人「びーのびーの」の事務局長らで話し合っていました。

 学生たちの社会との関わりが断たれていること、子育て家庭でも子供たちが学校や学童クラブへ行けずに自宅で時間を持て余していることなどから、両者の抱える課題解決につながる活動が何かできないか、という話題が持ち上がったのです。

 「危機の時こそ、困っている人がいればすぐに助ける。悩んでいる人がいれば手を差し伸べる。それをできるだけ最速でできるようにすることが大切。危機の時にできる活動は、日頃からの延長線上にしかない」

 山岡先生は「危機の時に何ができるか、それは日頃から何をしているかにかかっています。学生たちがすぐに行動を起こすことができたのも、日々のゼミ活動で異なる他者とのコミュニケーションを積み重ねてきたからです」と言い切ります。

 そして、「学生たちの思いだけではもちろんこの交流会は実現できませんでした。『びーのびーの』でも日頃から地域の家庭との交流を深め、信頼を得ているからこそ、『びーのびーの』の呼びかけに家庭が応じたのです。また、『アクションポート横浜』も、日頃から若者の参加を通じて地域のNPO活動を支えてきた実績があります。社会との関係性を日頃から紡いできたからこそ、実現できた交流会なのです」と、それぞれが日頃から行ってきた活動の大切さを強調しました。

人と人とを「橋」のようにつなぐ

 オンライン交流会には毎回6〜7家庭ほどは参加しています。毎回参加する家庭もあれば、口コミで噂を聞いて参加する家庭もあるなど、子供たちは次の活動を心待ちにするようになっていきました。運営する学生も最初は3人で始めましたが、徐々にゼミ生のなかで輪が広がっていきました。

 学生たちは、子供たちが飽きないようにするにはどうしたらいいかと考え、工夫を凝らした遊びを企画し、すごろく、自慢大会、好きな本紹介、歌やダンス、ポーカー、○×ゲーム、連想ゲーム…など、毎回違う遊びを取り入れ、交流会は10回を超えました。

 「遊び終わると、子供たちが我先にと感想を言ってくれるんです。そして、『びーのびーの』のスタッフから、活動後に親御さんや子供たちが『ありがとう』と紙に書いて写真を送ってくださったり、ご家庭で遊ぶときにも私たちの名前を出してくれていると聞いたりすると、やってきて良かったと思いますね」と、袴田さんは笑顔を浮かべます。

 中島さんは「お宝紹介や自己紹介をしたとき、『自分のことを伝えられたし、友達が好きなことや嫌いなことを知ることができて勉強になった』と言ってくれた子供もいました。子供たちは案外考え方が大人なんだなと気づかされました」と驚きました。

 そして、加藤さんは「子供たちのために自発的に動いたボランティアだからこそ、自分が役に立てているという喜びに気づきました。ゼミではさまざまな地域連携の活動をしてきましたが、山岡先生が『橋』のように、人と人をつなげてくださるからこそ、活動は成り立っています。今回もそうでした。普段なら出会うことのなかった子供たちと出会うことができ、喜んでもらえました。これからは、私も山岡先生のように、誰かと誰かをつなぐ人になれたら」と考えています。

 6月からは子供たちの学校も再開し、「オンライン交流会」は週1回のペースになりましたが、こうして築かれた子供たちと学生たちの絆は深く、「今後も続けてほしい」という声が子供たちから上がり、学生たちは「リアルで会って遊ぶ機会を作りたい」という気持ちを高めています。

 「会えない」から生まれた「出会い」は、これからの地域活動として、さらに大きく育っていきそうです。


ありがとうございます。
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もっと、神奈川大学のことを知ってもらいたい。 たくさんの「人」が行き交い、新たな可能性が生まれる場に。

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コメント (1)
「つなぐ人になれたら」そんな学びができるなんて素敵ですね。
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