学問への誘い

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ヨーロッパの街角から考える事|久宗周二

ヨーロッパの街角から考える事|久宗周二

久宗周二 工学部教授・社会行動工学 人は旅に憧れる。旅では、いろいろな新しい発見や体験ができる。そればかりか、日常から離れることによって、普段の自分の生活や考え方を見直す機会になる。 ましてや、海外に行くと普段当たり前と思っている習慣や、考え方を見直す機会になる。物事を測る時には、外から物差しを当てないとわからない。海外に行って、少しだけ日本を外から見るだけでも、そのような機会になると思う。学生時代はひと月単位でヨーロッパやアメリカを回った。その時のいろいろな体験や出会い

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卒業研究「Y君の話」|堀  久男

卒業研究「Y君の話」|堀 久男

堀 久男 理学部教授・環境化学技術 高校生の諸君はまだ知らないと思いますが、大学の授業科目のうち、机に座って講義を受ける科目は、その理解度を期末試験やレポート提出で採点されて、百点満点中六十点以上が合格、つまりその科目の単位が取得でき、六十点未満だと不合格となります。成績は前期と後期の年二回発表される成績表に出ていて、成績のパラメータであるGPAがいくつになったとか、あるいは進級できるかとか、学生本人あるいは保護者の方が一喜一憂するわけです。

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「知」ってなに?|関 真彦

「知」ってなに?|関 真彦

関 真彦 経営学部准教授・現代アメリカ文学 もうずっとはるか昔、私はある大学の文学部に入った。 というか入ったつもりだった。 しかしその大学では最初の二年間、教養学部に入れられ、小説を読む授業なんて週に一回あればいいほうで、ずっと政治だの法律だの仏教だの、当時の私にとっては何の役に立つのかわからないことを学んでいた。なんでこんな興味のない授業を受け、粛々とテストを受けて単位を取らねばならないのだ、大学っていうのは義務教育の延長線上にあるのか、そう思った私に大人たちはこれ

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手頃な石を探す旅|海谷治彦

手頃な石を探す旅|海谷治彦

海谷治彦 理学部教授・ソフトウェア工学 20年ほど前、成田空港から都内に向かう電車の中で、サラリーマン風の男たちの雑談が聞こえてきた。彼らは老人の趣味について語っており、三段階の形態を述べていたと思うが、内一つは忘れてしまった。彼らによると、忘れた何か(一つ)と盆栽を経て、最終的には「石磨き」に到達するらしい。 そういえば、亡くなった祖父も石磨きをしていたことを思い出した。当時まだ若かった私は、さすがに自分にはまだ早いなと思いつつ、それでも、磨くのに手頃な石を探すのは良いか

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「当たり前」が「当たり前」ではない|芦田裕介

「当たり前」が「当たり前」ではない|芦田裕介

芦田裕介 人間科学部准教授・地域社会学 改札を抜けると、そこは迷宮だった― 渋谷や新宿、東京や横浜などの大きなターミナル駅に着くと、私はよくそんな経験をする。出口に向けて歩いているはずなのに、一向に地上の光が見えてこない。それどころか、途中でほかの路線やショッピングセンターに迷い込んでしまう。ようするに、駅のなかで迷子になるのだ。そんなときに私は、「ああ田舎者だな」と思う。 私が生まれ育ったのは、岡山県の北部にある山と田んぼに囲まれた小さな町だ。実家から近くのバス停やコ

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法学とはどういうものか|小谷昌子

法学とはどういうものか|小谷昌子

小谷昌子 法学部准教授・民事法学 わたしはラジオを聴くのが好きなのだが、ここ数年、夏休みや冬休みによく聴いているのがNHKラジオ第一『子ども科学電話相談』である。中学三年生までの「子ども」からの「なぜ鏡に映ると左右が逆になるの?」「なぜ魚はアニサキスでお腹が痛くならないの?」といった素朴な疑問に、その道のプロの先生が答える番組である。 2017年8月30日放送の『夏休み子ども科学電話相談』では、「どうしてパンツを履かなければいけないの?」という質問が寄せられた。つい笑って

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クリエイティブ・マインド
―ものごとを見る目とクリエイティビティ―|道用大介

クリエイティブ・マインド ―ものごとを見る目とクリエイティビティ―|道用大介

道用大介 経営学部准教授・経営工学 大学では様々なことを学びますが、私はみなさんに「ものごとを見る目」と「クリエイティビティ」を大事にしてほしいと思っています。経済・経営系の学部ではその分野の理論、分析手法、過去の事例、価値観などを学びますが、これらは「ものごとを見る目」を鍛えていると捉えていいでしょう。しかし、一方で文系学部での「クリエイティビティ」というとピンとこないかもしれません。 クリエイティビティというのはものごとをよく見て、感じ、考え、自分の外に適切な形でだし

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今さら聞けない……「わからない」との付き合い方| 品川俊介

今さら聞けない……「わからない」との付き合い方| 品川俊介

みなさんは、インターネットで何かを調べる際、「今さら聞けない○○」というタイトルがつけられたサイトを目にしたことがありませんか? Amazonで書籍を検索してみても、(私の専門とする経済学の本を含め)『今さら聞けない~』と題されたものが多数ヒットします。これらのことが本当に「今さら聞けない」かどうかは別として、このようなタイトルは人の目を引くために有効であると考えられているのでしょう。 たしかに、世間では常識とされているようなことを、自分が「知らない」「わからない」というこ

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宇宙エレベーターへの挑戦|江上正

宇宙エレベーターへの挑戦|江上正

江上正 工学部教授・ロボット制御 宇宙エレベーターをご存じだろうか? 地上から天空の宇宙空間にある静止衛星さらにはその先までテザー(ベルト)を伸ばし、それに沿ってクライマー(自走式昇降機)で昇降するという構想である。 宇宙エレベーターの構想にはいくつかあるが、宇宙エレベーター協会も指針にしているNASAの関係者が提唱している構想を紹介しよう。これによるとテザーに沿ったクライマーの想定速度は新幹線並みであり、地上から約3万6000km上空の静止軌道までほぼ一週間かけて行く

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保留という選択|岩崎貴也

保留という選択|岩崎貴也

岩崎貴也 理学部助教・植物進化多様性科学 私が最初に進路選択を迫られたのは高校1年生の終わりでした。私は普通科でしたので、2年生から理系か文系かを選択する必要がありました。研究者は自分の専門分野を迷い無く選択してきたと思われがちですが、「理科」と「歴史」と「地理」が好きだった私は、理系・文系の時点でかなり迷いました。 最終的には、理系から文系なら後で変更できるよという高校の先生の言葉もあり、じゃあ理系で、と選択したことを覚えています。深く勉強してみないと分からないので、と

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