学問への誘い

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学問することはモノの収集からはじまった|角南聡一郎

学問することはモノの収集からはじまった|角南聡一郎

角南聡一郎 国際日本学部准教授・仏教民俗学 津山という土地  私は岡山県の北部、津山市という人口約10万の盆地で生まれ育ちました。津山市付近は勝田層群(第三期中新世)が広がり、化石の産地としてマニアの間では知られた土地です。また、津山盆地には旧石器時代から江戸時代までの遺跡が各所にあり、考古資料との距離は近く感じられました。こうした環境は私のその後の人生に大きな影響を与えました。 化石採集への情熱  昭和37(1962)年、市内松原の吉井川河原で、中学生がクジラの化石を発

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外国語習得の秘訣|彭 国躍

外国語習得の秘訣|彭 国躍

彭 国躍 外国語学部教授・社会言語学  「勉強には秘訣なんてないよ。頑張るしかない」と言われたら、皆さんはどう反応するのだろう。若い頃の自分なら「そうだろうね」と頷いたかもしれないが、いまの私には、「あるよ。外国語の習得なら、確実にある」と自信をもって言える。しかも「若いほどコツが効く」と念を押したい。  外国語をペラペラしゃべる人が羨ましい。自分もそんな人間になりたい。そう願う学生は、決して頑張りたくないから「秘訣」を求めているわけではない。ほとんどの学生は、「必死で頑張

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G・ボワソナードと日本の法制度|白取 祐司

G・ボワソナードと日本の法制度|白取 祐司

白取 祐司 法学部教授・刑事訴訟法  フランス人、ギュスターブ・ボワソナード(Gustave Boissonade)が横浜港に到着したのは、明治6(1873)年11月15日のことだった。マルセイユ港を出たのが9月28日だから、実に90日間の船旅ということになる。余談だが、私はマルセイユに2週間ほど滞在したことがある。昔の佇まいを残した商港で、船旅の起点として当時はかなりの賑わいだったであろう。  明治政府は、日本の近代化を推し進めるために、フランスなど当時の先進国から多くの

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「お祈りメール」なんて怖くない|湯川 恵子

「お祈りメール」なんて怖くない|湯川 恵子

湯川 恵子 経営学部准教授・経営組織論  大学生のほとんどが考える進路選択イコール就職先選びは、ある意味で学生にとって初めて社会を「自分事」として捉える場となる。どんな会社に入社したいのか、どんな仕事をしたいのか、自分に向いている仕事は何か、こうした問いに真剣に向き合うことになる。しかしいざ就職試験に行っても不採用通知を受け取ることは少なくない。「末筆ながら、貴殿の今後のご活躍をお祈り申し上げます」で締めくくられる不採用通知を皮肉って「お祈りメール」といわれるようになった新

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「リベラル・アーツ」とは何か?|深澤 徹

「リベラル・アーツ」とは何か?|深澤 徹

深澤 徹 国際日本学部教授・平安・院政期の文学  せっかく法学部や工学部(ここは経済学部や理学部、医学部や看護学部でもかまわないのだが)に入ったのに、その学部に特有の専門領域をあつかう科目は、なかなか受けさせてもらえず、その前に、めんどくさい語学とか、高校の授業の延長のような一般教養なんかの、まどろっこしい科目ばかり受けさせられて、うんざりだ!  大学に入ったばかりの新入生は、そんな感想を抱くのではないだろうか。どうしてこんな回り道をしなければならないのか。こんなことやって

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働き方改革から学ぶ、学生生活|大竹弘和

働き方改革から学ぶ、学生生活|大竹弘和

大竹弘和 人間科学部教授・スポーツ政策論 長時間労働による過労死や自殺、残業代の未払いなど、我々にごく身近な「仕事の問題」が大きく社会問題化されるようになってきた。電通女性社員の過労死は社会に大きな衝撃を与え、2019年4月から働き方関連法案が順次施行されている。残業時間の罰則付き上限規制や勤務間インターバル制度、同一労働同一賃金、高度プロフェッショナル制度など、政府の規制によって企業の義務(一部努力義務)が制度化され、日本人の「働き方」は大きく変わろうとしている。 しか

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文化比較を通じて「知る」に至る|中村隆文

文化比較を通じて「知る」に至る|中村隆文

中村隆文 国際日本学部教授・現代英米哲学思想 よく「自分が何者であるのかを見つけるのが大事だ」とか「自分を見つめなおす必要がある」という台詞を耳にするが、そのためには、自身の内面だけでなく、自分の外部にも目を向ける必要がある。 たとえば、「自分はまじめな学生だ!」と意識していても、友人たちの授業出席率が95%であるということを知ったのちに、70%程度の出席率でしかない自分と比較してみると、最初の自己認識が不十分なことを反省することにもなるだろう。 そう。「自分を知る」とい

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ヨーロッパの街角から考える事|久宗周二

ヨーロッパの街角から考える事|久宗周二

久宗周二 工学部教授・社会行動工学 人は旅に憧れる。旅では、いろいろな新しい発見や体験ができる。そればかりか、日常から離れることによって、普段の自分の生活や考え方を見直す機会になる。 ましてや、海外に行くと普段当たり前と思っている習慣や、考え方を見直す機会になる。物事を測る時には、外から物差しを当てないとわからない。海外に行って、少しだけ日本を外から見るだけでも、そのような機会になると思う。学生時代はひと月単位でヨーロッパやアメリカを回った。その時のいろいろな体験や出会い

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卒業研究「Y君の話」|堀  久男

卒業研究「Y君の話」|堀 久男

堀 久男 理学部教授・環境化学技術 高校生の諸君はまだ知らないと思いますが、大学の授業科目のうち、机に座って講義を受ける科目は、その理解度を期末試験やレポート提出で採点されて、百点満点中六十点以上が合格、つまりその科目の単位が取得でき、六十点未満だと不合格となります。成績は前期と後期の年二回発表される成績表に出ていて、成績のパラメータであるGPAがいくつになったとか、あるいは進級できるかとか、学生本人あるいは保護者の方が一喜一憂するわけです。

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「知」ってなに?|関 真彦

「知」ってなに?|関 真彦

関 真彦 経営学部准教授・現代アメリカ文学 もうずっとはるか昔、私はある大学の文学部に入った。 というか入ったつもりだった。 しかしその大学では最初の二年間、教養学部に入れられ、小説を読む授業なんて週に一回あればいいほうで、ずっと政治だの法律だの仏教だの、当時の私にとっては何の役に立つのかわからないことを学んでいた。なんでこんな興味のない授業を受け、粛々とテストを受けて単位を取らねばならないのだ、大学っていうのは義務教育の延長線上にあるのか、そう思った私に大人たちはこれ

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