学問への誘い

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「学ぶ」は、楽しく力強い| 松浦智子

「学ぶ」は、楽しく力強い| 松浦智子

松浦 智子 外国語学部准教授・中国文学 数年前の夏、中国の西北地域に石碑の調査に向かった時のことである。 日中、車にガタゴトと長いこと揺られた末に、ようやくその日の宿を見つけて部屋に入り、一息いれようとしたところだった。 「定例検査です!」 との声とともに、半開きだったドアから中年警察官が3人ほど入ってきた。 驚いていると、騒ぎを聞きつけ、調査に同行した先輩研究者も現地アテンドの学生と向かいの部屋からやってきた。 「なんか悪いことでもしたの?」と先輩はニヤニヤするが

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じっくりと、かつ軽やかに| 小川淳平

じっくりと、かつ軽やかに| 小川淳平

小川 淳平 経済学部准教授・会計学 20数年前の春、私は新しい世界への期待と緊張とともに大学に入学しました。 通学先が地域の男子校から華やかで大きなキャンパスとなり、とにかく自分の居場所を見つけるのに懸命であったように思います。 経済学は、希少な資源の配分を考えます。何かを得ることはほかの何かを諦めることになりえます。大学生になると自分の意思で「時間」を決めることが増えます。高校までのように、毎朝早く家を出なくてもよいかもしれませんし、履修する授業や授業後・週末の過ごし方

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大学の講義は役に立つ?|飯塚重善

大学の講義は役に立つ?|飯塚重善

飯塚重善 経営学部准教授・コミュニケーションデザイン 学生時代の思い出深い講義は、入学直後の微分積分学の初回講義である。担当の教授が教室に入ってくるなり、自己紹介なども無しに板書が始められた。後日わかったのだが、微分積分学に繫がる実数論の初歩「デデキントの切断」の話だったようである。 今だから言えるが、私などは、心底数学が好きで数学科を選んだのではないので、高校の時から大学レベルの数学に挑戦するといった先行的な取り組みもなく、高校数学だけで漠然と〝面白そうだな〟という軽い

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AI時代の大学の歩き方|知久哲彦

AI時代の大学の歩き方|知久哲彦

知久哲彦 理学部准教授・統計力学 今の若い世代は生まれたときからデジタル機器に囲まれ、スマホが片時も手放せなくなってしまっている時代です。だからと言ってこの小文はキャンパス内でスマホ歩きを勧めるものではありません。 情報技術が人間社会にインパクトを与えた三つのステージを挙げてみると、まずは人間をはるかに超える計算能力と扱える情報量を獲得した第一段階、あらゆる情報機器がネットワークで結ばれ、どこにいても各種の情報に容易にアクセスできるようになった第二段階(これは日本で言えば

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予期せぬ出会いへの扉|近江美保

予期せぬ出会いへの扉|近江美保

近江 美保 法学部教授・国際法 月並みな言い方ですが、入学とは新しい環境との出会いだといえます。 新しい環境といっても、入社や単なる転居と違うのは、入学には、新しい環境で何か新しいことを学ぶという目的があることです。 知らない環境に足を踏み入れることで、緊張したり、わからないことが多くていやだなと思う反面、こういうことを学んで、将来はこういう自分になりたいという期待も入学にはつきものです。 また、入学という扉の先にある新しい環境では、想像もしていなかった予期せぬ経験と出会

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考えを深め、理解を高める力を持ち、人と協働する|上田 渉

考えを深め、理解を高める力を持ち、人と協働する|上田 渉

上田 渉 工学部教授・触媒物質化学 今の学生は勉強が大変だ。今時の学生の学力がどうの、こうのと言っているのではない。 学ぶことがどんどん増え、十分に追いつけなくなっている状況を言っている。むしろ多くの学生は科学の最先端からどんどん取り残されつつある。 しかし、これは至極当然のことで、広い意味での科学(学問)は自ら進展する特性をもつため、日々新しい領域が生み出され、それに伴って学術と技術がどんどん発展し、広がり、高度化するためである。 したがって、学生に限らず、大学教授も

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