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学問への誘い

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『学問への誘い』は神奈川大学に入学された新入生に向けて、大学と学問の魅力を伝えるために毎年発行しています。 この連載では最新の『学問への誘い 2021』からご紹介していきます。
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記事一覧

第二の故郷となったモダン都市ヨコハマ

内田青蔵 建築学部・日本近代建築史、日本近代住宅史  私は、東北人。秋田の大館市という人口5万人ほどの小さな田舎町の出身だ。秋田犬の里で、渋谷のハチ公の出身地といった方がわかりやすいかもしれない。高校時代は数学と物理が好きだったが、文系の暗記物は苦手だった。必然的に大学受験では、理数系の科目を生かせる工学部をめざした。学科までは決め切れずにいたが、大手ゼネコンで活躍していた親戚がおり、建築家もいいなと受験間際に建築学科をめざした。当時は建築家になるなら工学部が常識で、現在の

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新入生への手紙

秋吉政徳 工学部・知能情報学 「縛られない中から見つけたもの」  新入生の皆さん、今は受験競争というしがらみから解き放たれ、心躍る大学生活にいろいろな想いが交錯していることでしょう。私自身も40年近く前の入学時に、友人と肩を組んで時計台の前で撮った写真を見るとその想いが蘇ります。大学での講義、部・サークル活動、アルバイト探し、そしてこれまでとは異なり色々な地域からの人との出会いが始まる中で、当時の大学では講義の出欠がとられることもなく、まずは自由な時間をどう過ごそうかでし

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実践的学問に出会う場所

廣津 昌和 理学部・無機化学、錯体化学、有機金属化学  大学に限らず、入学したての頃は誰もが新鮮な気持ちで授業を受ける。しかし、大学では学びのかたちが高校までとは大きく変わる。一番大きな変化は、学びたい科目を自分で選べることであろう。いろいろと悩んだ末に学部・学科を選び、大学を選んで入学した学生にとって、この変化に戸惑うことが多いのではないだろうか。もちろん必修の科目もあるが、授業が行われる教室に行っても指定された席はない。自由に選べる範囲がこれまでとは格段に広がっている。

わくわくする学びとどのように出会うのか

古屋喜美代 人間科学部・教育心理学、発達心理学 「ご専門は?」と問われれば「発達心理学です」と私は答えます。でも大学に入ったころの私はたぶん「発達心理学」という用語を知っていたかどうかもあやふやです。皆さんは、大学でご自身が深める専門領域について、どのくらいご存知でしょうか。その領域で自分が目指したいものが現在の自分なりに見出せているでしょうか。  すでに明確な目標を見据えている人もそうでない人も、学びの在り様は人それぞれです。「これだ」と見据えて大学に入学したものの、青

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大学での出会い、そしてその先へ

岩畑貴弘 国際日本学部・英語学、言語学(情報のなわばり理論、終助詞)  私が大学に入学したのは1986年、皆さんほとんどの方が生まれるずっと前、もう35年も前の話です。皆さんは、もしかすると1986年なんて想像つかないかもしれません。「戦後すぐでまだ日本が貧しかったころ?」なんていう人もいるかも。でも当時は戦後41年も経っていて戦後ではないし、貧しい時代では全くありませんでした。それどころかちょうどバブルの始まりのころ、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』というエズラ・ヴォーゲ

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ビスマス・古代遺跡・五重塔

岩崎賢 外国語学部・ラテンアメリカ地域研究、宗教学  ビスマスという物質がある。金属の一種でその結晶は天然のものもあるが、人工的に作ることもできる。ビスマス結晶は、見る人をハッとさせるような形と色合いを持っている。人はある程度まで、その結晶化の条件を整えることができる。しかし、その最終的な形までコントロールすることはできない。それは「作り出す」ものというより「現れ出る」ものである。それは人間が作ったものでありながら、人間の思惑や期待を超えている。  ビスマスと似たものを、

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想定していなかった会計研究者という進路

尻無濱 芳崇 経営学部・会計学  私は現在、会計学の研究者として働いていますが、もともとは農業経済学を勉強するつもりで大学に進学しました。それがなぜ今のような仕事をしているのか、どうして会計学の研究者という想定外の進路に進んだのかを説明しようと思います。私が伝えたいメッセージは、「偶然の出会いを大切に」ということです。  私は、大学入学時には農学部と一般に呼ばれるところに入学しました。もともとは農業経済学という分野に興味を持って、勉強してみようと思っていました。ところが1

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事例を通じてマーケティング「論」を学ぶ

藤井誠 経済学部・マーケティング論  大学教員という仕事柄、入試で高校生に面接を行う、あるいはゼミ選考の一環として面接を行うことがあります。その際、よく聞かれるのは、「マーケティングは身近な学問なので、楽しい」、「マーケティングは社会に出て役に立つので、大学で(ゼミで)実践的に学びたい」といった言葉です(忖度している?)。皆さんが興味を持ってくれていることは嬉しく思いますし、私も大学入学時に皆さんと同じような思いを持ち、それが今に続いているのかもしれません。ただ、1人の教員

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砂漠のサリー

近藤 和哉 法学部・刑法  ここのところ、航空業界はさっぱり振るわないと聞く。私の妻子も、この2年ほど、花の都とその周辺をうろつくばかりで、日本の土を踏んでいない。Liberté(=自由)の国に馴染んだ彼ら(主に妻)には、2週間の自主隔離が大変な重圧であるらしい。私とは感覚が違うが、旅費を負担する身としては、あえて異を唱えるまでもない。しかし、ここでFraternité(=友愛)の精神を発揮して迂闊に慰めたりすると、同情するなら米をくれ、とばかりに、彼の地で入手困難な和食材

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妖怪が語る近世 ―「ヘマムシヨ入道」を読む―|関口博巨

関口博巨 日本近世史  子どものころの日曜日の夕方、私は水木しげる原作のアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』を欠かさずに観ていた。「ゲッゲッゲゲゲのゲー、朝は寝床でグーグーグー、楽しいな楽しいな、お化けにゃ学校も試験もなんにもない……」というオープニングの歌をききながら、本気でお化けや妖怪を羨ましく思っていた。その名曲は、日曜の終わりと憂鬱な一週間の始まりを知らせる合図のようでもあった。鬼太郎は大好きだけど、この歌をきくと勉強嫌いの私の気分は落ち込んだ。  『ゲゲゲの鬼太郎』は妖怪ブ

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自分を磨くために|奥山 茂

奥山 茂 経済学部教授・会計学  学生時代に3年次のゼミナールでは「批判とは何か」というような課題を与えられ、図書館にこもって四苦八苦した経験があります。その際に、最も初歩的な批判としては誤字・脱字の指摘、文章の不備の指摘があることも知りました。大学院のゼミナールでは後輩の学部生にそのような批判をしつつも、自らも徹底的な批判を受ける立場にあったことと、その際に、「間違い・不備に気付かなければその当事者と同レベルかそれ以下だ」と指導教授から指摘されたことが懐かしく思い出されま

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言の葉ノートを開く時~言葉の記憶|原 良枝

原 良枝 国際日本学部特任教授・比較文化・比較基層文化論  あなたの好きな言葉は? 心が動いた言葉はありますか。  例えば「意志あるところ道は開ける。」よく聞く言葉だとは思いますが、私にとっては特別で大切な言葉です。大学三年生の秋、将来の進路を決めかねて安易な方向へ進もうとしていた時に友人がかけてくれた言葉だからです。不思議なもので、この言葉を口にすると私はたちまち大学生へ逆戻りし気持ちまで若返ります。まるで、タイムマシンのような作用を引き起こすマジックワードです。  私

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新入生のあなたへ|知花愛実

知花愛実 経営学部助教・先住民研究  新入生のみなさん、自由な世界へようこそ! 晴れて大学生になった今、どんな人と出会い、何を学び、どんな経験をしてみたいですか。みなさんの中には親元を離れ上京し、慣れない地で不安と期待を胸いっぱいにこの春を迎えている人もいることでしょう。自由を手に入れたのも束の間、自由には自制心と責任、タイムマネジメントが重要であることに気づきはじめた頃かもしれません。これらは習得するまでに多少時間かかりますが、一度マスターできれば、大学生活もその後の人生

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自炊の勧め ―“食”について考えてみよう―|引地史郎

引地史郎 工学部教授・生物無機化学  新入生の皆さんの中には、大学入学を機に生活が一変したという人がいることと思います。それまではご家族に頼っていた〝衣・食・住〟に関わることを一人で全て行わなければならなくなった、あるいはご家族の分も含めて家事を(一部)担うようになった、という人もいるかもしれません。また先々生活が変化していく可能性は、皆さん全員にあります。そのような皆さんに、人間が生きていくうえで欠かせない“食”にまつわる私の体験を紹介します。根っからの食いしん坊である私

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